|
先日のmemoに記した519ship project。
2013年のテキスタイルブランドJUBILEEがきっかけで舟形ポーチが出来上がり、三年目の今は<あたまをくるりと返す>という商品に変化と進化をとげました。 hickory03travelersさんよりお声がけいただき、ベースキャンプ内(旧二葉中学校)オフィシャルショップ《blue&brown》で「新潟の景色であたまをくるりと返す」となって販売が始まりました。 7月18日から。 そして本日、目に飛び込んできた新潟市立美術館ミュージアムショップ『ルルル』の画像。 よく見るとJUBILEEの商品が。さらによく見ると舟形ポーチも。 JUBILEE シミズダニ氏に確認したところ、新装を機に取り扱いが始まるとのこと。しかも私が作ったものだと言う。 ルルルの新装オープンは7月19日。 2013年に企画・製作を携わった舟形ポーチの原点の商品と、2015年最新パージョンの舟形ポーチが、時も場所も経て500mくらいしか離れていない場所でほぼ同じタイミングで販売が始まる。 不思議すぎる、奇妙すぎる。 こういうことはよくあることなのでしょうか… 活動の場が広がることは世界が広がることだと思っていた。 けれど、世界は広がっていたわけではなく、どちらかというと近づいていたようだ。 広がっているつもりですぐに繋がってしまう。 どれだけ狭い世界で私は生きているんだろう… と思ったけれど、それも多分違う。 うまく言い表せないけれど、近づいている。
|
|
2013年から 舟形ポーチ を作り続けている。 きっかけは、商品企画・生産を少し手伝っていたテキスタイルブランド【JUBILEE (Click!) 】からの「ポーチ、作りたいんですよね。」という一言だった。 母の日の催事でデビューしたいとの希望。 形もサイズも特に指示はなかったので、どんなテキスタイルが乗っても成立する形にしたかった。 試作を重ねてサイズにあたりをつけ、使いやすいさってなんだろうと仕様に落とし込んだ。 そうやって出来上がったのがファスナー付きの舟形ポーチ。 自立する底マチがついて、ファスナーを被せで隠して全面にテキスタイルが見える仕様。 立体でテキスタイルの見え方にも変化が生まれた。 被せをつけたことで中身が他の人からは見えにくく、ファスナーは指先や爪をきずつけないような優しく柔らかいファスナーを選んだ。 布袋、ポーチではあるけれど、クラッシックなハンドバッグを少し意識して仕様を考えた。 翌年、個展で展示用にポーチを作る必要があった。 ファスナーを使いたくなかったので、機巧は一緒、被せを深めにしてファスナーを無くした。 隙間から指を入れて物を取り出していたらお客様の一人が あたまをくるりと返した。 そんなつもりで作っていなかったので驚いた。 隙間から指を入れいれるだけしか開閉部がないと思っていたのに、あたまをくるりと返したことで開閉部が全面に現れた。 その後もこの舟形ポーチの形を気に入っていただき、中綿入りで富士吉田の絹機屋さんともモノづくりをご一緒した。 製作過程で見つけた新たな発見はその都度取り入れ、誰かが何気なく呟いたひと言もアイディアへと繋がった。 今、主に製作している舟形ポーチ『 あたまをくるりと返す 』は、日本の文化の中で培われた ≪折る・たたむ・重ねる≫を取り入れファスナーやボタンを使わずに開閉できる仕様になっている。 私なりに日本人らしいモノづくりのカタチの模索で出会ったものでもある。 ----- 舟形ポーチ、舟の形。 私が作った舟はそれぞれの役目を負い、それぞれでどんどん海原に進んで行った。 私は作って納めるだけ、舟を造って港に着水させるまでが仕事。 その舟は私をどんどん知らない場所へ連れて行ってくれる。 そんな思いやイメージがいつの間にか湧いていた。 未だ見ぬ大陸に出会えるように、新しい島を見つけられらように、さらにいい潮に乗れるように、高い波を越えられるように、たくさんの景色を眺められるように、どこかで別の舟にすれ違えるように… そんな気持ちで舟形ポーチには少しずつ新しいアイディアを乗せて作り続けている。 そしてどんな嵐にも飲み込まれないように… この舟形ポーチのプロジェクトは【 519ship project (ゴーゴーシッププロジェクト) 】。 519 →go 行く →GO GO。 519は私の誕生日、私を表す数字。 風を受け、波に乗り、然るべき場所へ舟はきっと舵をとり辿り着いてくれると信じて新しい舟を作り続けます。 3年目の519ship project、とても楽しみです。 ≪航海記録≫ ・伊勢丹 / 新宿 (JUBILEE) 終了 ・Spiral Market / 青山 二子玉川 KITTE (JUBILEE) 終了 ・GALLERY MITATE / 六本木 (JUBILEE) 終了 ・紙もの雑貨店 setia / 三条市 終了 ・御坊市 にて "FURICO と イカラシ" / 三条市 終了 ・新潟県立万代島美術館 ミュージアムショップ BANBI / 新潟市 終了 ・水と土の芸術祭 オフィシャルショップ blue&brown / 10月中旬まで! ・hickory03travelers / 新潟市 秋の新色検討中! ・ギャラリーショップ 草舟 / 新発田市 オリジナル藍猫カラーで販売中!
|
|
「着心地の良い服です、着易い服です。」
となかなか自分からは言えないけれど、 《着心地が良くなるように、着易いように作る努力をしています。≫ と言えます。 私は身長も体重も標準体型ではなく大きめ、さらに強めの鳩胸、肩甲骨は隆起気味、前肩、猫背、厚身体という知れば知るほど変わった体型でした。 遺伝プラス小学生の頃の水泳の影響です。 そして、さらにしっかり女性らしい脂肪の付き方。 専門学校1年の頃は自分をモデルに作品を作るわけですが、大げさに言うとメンズとレディースの両方を意識して作らなければいけないパターンなのでした。 自分の身体を寸法で線で捉え、布を裁ち立体にする。 変な体型だなーと思って「ダイエットしよぅ…」と小さく呟いたら、近くにいた先生は「骨格はダイエットしても変わらないからこんなもんだよ」と無慈悲なコメントを残したのでした。 毎回毎回仮縫いの体型補正が多くて、人よりもたくさんの補正の仕方を教えてもらったと思っています。(先生に補正される姿を友達たちは眺め 変な身体だねー とよく言っていました…) 舞台衣装の仕事をする中では 動きの邪魔をしないこと、かつ美しい姿であること を求められることも度々。 筋肉・筋、関節、骨、痛点、動いた時の空間や床との距離感… さらにそんなことを踏まえてものを作らせてもらいました。 照明、舞台美術、会場の広さと見え方、舞台上でのキャスト同士での見え方も。 アパレルブランドにいた時には着た時の見え方を。 シルエット、素材感、素材同士の組み合わせ、他のアイテムとのバランス、ブランドコンセプト、雰囲気… 今までやってきたことをちょっとずつ活かし、今作りたいもの、着て欲しいもの、を作っています。 それが一人でも多くの人にとって 「着心地が良くて着易い」 と感じてもらえたら最高に嬉しいです。 |
|
hickory03travelers 近藤実可子さんの個展へ。
春山登山展から緻密で繊細な刺繍の世界を描く彼女に興味が湧いた。 (Click!) ----- 2013年初頭、自分に何ができるのか分からなくなり何か作らなければ… と必死の思いでインスタレーションで作品を生み出した私が一筋の光のように確認できたのは「針と糸を持つこと」、ただそれだけだった。 わたしの見つけた それ は装飾の それ ではなく、何かと何かを繋ぎとめる、カタチを作る為の それ だった。 【 刺繍 】という表現もまさに それ ではあるけれど、わたしが最も不得意とする表現であったし、気が遠くなる作業、気の重い作業… とにかく自信のない表現なのだ。 同じ「針と糸を持つこと」を表現とする人として、尊敬と憧れの眼差ししかない。 ----- 縫い目ではなく布を装飾するための糸は光を得て美しくそこにあって… 明るい照明を当てるではなく、ほぼ自然光の中しっとりとした明るさの部屋で作品は展示されていた。 光沢のある糸の光の当たりがとても柔らかく、鈍いけれどしっかりと優しくこちらへ届く。 能装束の煌びやかさは薪や蝋燭の灯りの中でこその表現、それに通ずるものを感じた。 「スモールシーズン」と名付けられた連作に彼女を育んだものがしっかり現れていたような気がした。 新潟の厳しく長い冬、太陽の光を阻む厚い雲に覆われた季節を過ごす中で、これから来る春・夏・秋の美しい景色に思いを馳せる。 そうすること冬ので厳しさも必然と感じたりそこに美しさや恵みの巡りを感じられるようになる。 もともと農作業のできない冬、女性は家の中で針を持つことをずっと繰り返してきた、そこに希望や祈りを込めて。 近藤実可子さんの作品には可愛いらしさの中にそんな昔から脈々と続いている「針と糸を持つこと」を感じさせられた。 ----- 刺 さす 繍 ぬいとる いとへんに粛。 〖粛〗 つつしむ 心をひきしめて、正しい形で行う。つつしむ。 心をひきしめ、つつしみをもって糸で刺すのですね、刺繍とは。 |
|
久しぶりに出かける。 わくわくして自転車で駅に向かう途中、ふわふわとポプラの綿毛のようなものが飛んでいた。 ポプラの木、あったかな? と周りを見渡すと洗車をしている人の泡が飛んできたものたった。 なーんだ とも思ったけれど、一瞬とてもいい気持ちになった。 2008年夏、衣装を担当した劇団のエディンバラ公演に同行した。 朝は早めに起きて家の裏の王立植物園で散歩をし、帰ってゆっくり朝食を食べ、お昼ご飯を用意し、着物に着替えて家を出る。 new town から劇場のあるold townまで、着物を纏っているのに必ずバスの二階に上がって街を眺めるのが好きだった。 街の中頃でバスを降り、ミーティングを兼ねて他の劇団員の住むフラットへ向かう、 ポプラの綿毛が舞う大きな公園の芝生を横切って。 緑が美しく、空の広い公園にふわふわと漂うポプラの綿毛がとても不思議で綺麗だった。 ミーティングが終わるとまたふわふわとポプラの綿毛が舞う芝生を横切って街へ戻り、チラシを配りながら劇場へ向かう。 公演が終わるとまだ明るい街を散歩。晩御飯の買い物をしてまたバスに乗り込みnew townにもどる。 時にはパブで一杯飲んで帰ったり、気になる芝居を観て帰る。 フェスティバル期間はエディンバラ城でミリタリータトゥーが行われ、ほぼ毎日花火が上がった。 街の中心にある見晴らしのいい丘の上、要塞を兼ねた古い城から上がる花火とその明かりに照らされた全ての景色が本当に美しかった。 平日はほぼ毎日こんな風に過ごし、休みの日は丘に登って野うさぎを追いかけたり、気ままにバスに乗って海に出たりしていた。 朝はのんびり陽が昇り、夜の訪れもゆっくりだった。霧が立ち込めて天空の街のようになったり、大雨の後の虹を高台から眺めたり、振り返ると神様からの贈り物のようなひと夏だった。 ポプラの綿毛もどきから、ここまでいろんな記憶を蘇らせてもらった、いい一日になりそう。 日常に過去を思い出すボタンは色々なカタチで存在している。 |