織る という行為に並々ならぬ敬意をもっています。
手織りであっても機械織りであっても、一本の糸から織物はできていて、そこには文化や祈り想い願いが込められているように感じます。
だから、布に刃を入れるとき、いつも少し心がキュッとなるのです。
「想いを裁つ」
そんな言葉がふと浮かんでしまいます。
染織工房や染色家、テキスタイルデザイナーさんから生地を委ねられた時はさらに心がギュッとなります。
緊張とプレッシャーというやつです。手に汗、冷や汗。

さてさて…
数ヶ月前に、ある生地の相談を受けました。
ご依頼主は知り合いのご夫婦。
奥様の誕生日プレゼントとしてこの生地でワンピースを仕立てて欲しいと。
何処か懐かしい雰囲気の、可愛らしさと上品さを持った絹織物でした。
お話を聞くと、奥様のお祖父様が、娘であるお母様にワンピースを仕立てる為に購入された生地だとか。お母様は仕立てることなくずっと箪笥の中にしまわれていたそうです。
それを奥様が譲り受けいつかワンピースに仕立てようと大切に保管されていたのです。
「この生地でワンピースを作ったら会ったことのないお祖父さんに会える気がするんです。」
とお話ししてくださいました。
素敵な依頼に感激しつつ、いつもと違ったプレッシャーを強く感じ、生地を持って帰りました。
※ワンピースのデザインもお任せで…というかなり難易度高めのご依頼でした。

つづく。
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割れました。
高価なものではないけれど。

知り合いの陶芸家さんの作品。この前まで住んでいた大好きな街の仲のいいご近所さん。
二つ買ったうちの一つが割れました。好きだった模様が出てた方。
割らないように、割られないように戸棚の高い所に置いてたら、おばあちゃんが落としてしまいました。
ショックだったけど
「これは金継ぎをするチャンスだ!」と結構前向きなショックでした。

で、欠片を拾い集めながらこの器を造った方のこと、その方との思い出、その器で飲んだもの、一緒に飲んだ人、その器でお茶を出した人のことなどその器を巡るたくさんの思い出の断片がすごい勢いでどんどん蘇ってきたのです。

5.6年をびゅーっとその器で遡りました。

モノを買うと思い出がおまけで付いてくるんだなぁと実感したのでした。
眺めてるだけでは思い出せないたくさんの思い出が、器が割れたことで思い出せました。

あ、
これは器が私を慰めてくれたのかもしれない。
器が持っている記憶を私に飛ばして慰めてくれたのかもしれない。

愛おしい奴め。
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シルクスクリーンを刷る工程。
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プリントの後、スタンプを楽しむ。
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インクいろいろと。
「三条楽音祭 と イカラシ」

いよいよ今週末です。
若者と行政が一緒に創り上げる野外フェス "三条楽音祭" にワークショップ形式で参加いたします。
6種類のマークを自由に組み合わせ、自分だけの楽音祭グッズをシルクスクリーンプリントで作るワークショップ。みなさま と イカラシでひとりひとりのそれぞれを。

日時 : 9月7日(日) 正午~日没
会場 : 中浦ヒメサユリ森林公園 (新潟県三条市中浦143)
参加費 : 500円~ (プリント土台持ち込みの方はプリント代500円~、プリント土台としてTシャツ、バンダナ、エコバックをこちらで購入する場合はプリント代+別途となります。)
所用時間 : 15〜30分

その時着ているTシャツ、お手持ちのエコバッグやバンダナ、ハンカチなど気軽にシルクスクリーンプリントを楽しんでいただけます。
見学だけでも構いませんので楽音祭においでの際は是非お立ち寄りください。


・お問い合わせ/予約
MAIL : info@toikarashi.com
TEL : 090-7411-0955
※当日、山の中で電波状況が非常に悪くなっております。
随時ワークショップは受け付けております。

まる、さんかく、しかく、ほし、ハート、おんぷの六種類のマークにそれぞれ私なりに楽音祭らしい意味を持たせました。
そのマークを共有することを一つのデザインとし、自分でそのマークを構成することでオリジナルのグッズとなります。
同じ種類のマークを使いながらそれぞれのオリジナル楽音祭グッズができあがります。
スタンプや筆を持参いただくと更に楽しんでいただけます!

共通を共有すれば大きな枠で一つのデザイン。
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明日何を着るか
前の日の晩に考えることで素敵な寄り道先が増えるかもしれません。

五年後何を着たいか
今考えることで、仕事への意気込みや生活の仕方が変わるかもしれません。

最期に何を着るか
今から少しでも考えて欲しいと思います。

二十歳の頃亡くなった友人は、節約に節約を重ねて買い集めた大好きなブランドの洋服に身を包まれ荼毘に付しました。
人生始めての人の死、その姿が衝撃的で自分なら何を最期に着たいか と時々考えるようになりました。
友人の死から約10年たって固まった思いは、自分で育てた綿花から糸を紡ぎ機を織り、自分で仕立て上げたものを最期に着る。

死ぬために種を蒔き、育て、作る。
終わりの始まりのモノ作り。
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一人でも多くの人の耳にミシンの音が届いたら良いなと思っています。

私は幸せなことに、普段からお客様と近い距離でモノを作る仕事ができていますが、世の中のほとんどのお針子たちは誰が着るのか、何処で売られるのかもわからずに日々縫い続けているのではないでしょうか。
埃っぽい工場で、今にも倒壊してしまいそうな建物の中で働いているお針子もたくさんいます。
"日本製"の影に法外な賃金で働かされている外国人研修生もたくさんいます。
同じ日本人でもなかなかの低賃金です。
高価でお気に入りの洋服も、なんとなく買ってしまった安価な洋服も、どれも世界中の誰かのその手によって生まれた"手作り"であることに間違いありません。

「LABO」と銘打ってお客様の目の前でモノを作る。どの方も目を輝かせ、とびきりの笑顔でモノを受け取ってくれます。作り手として最高の幸せです。
自分で選んだ生地が目の前でカタチになる。その感動を通して、今自分が着ているものは誰が作ったんだろう、何処で作られたんだろう…と想いがどんどん世界のお針子に向いたら良いなと思います。さらには機屋さん、糸を紡いでいる人、綿花を育てている人にまで。

そのきっかけとなるミシンの音が一人でも多くの人の耳に届いたら良いなと思っています。