" ボスが受賞されました。
おめでとうございます。

フライト前夜、夜中までかかって仕上げたスーツも、良くお似合いで何よりでした。笑

この仕事をしていて、良く思う事。

スポットライトを浴びるのは、デザイナーさん。(社長はちょっと違うけど)
それで良いと思う。

でも、その下で、デザイン画を形にするパタンナーさん、生地やら資材やらを手配&管理する人、
そして、それを全て受け取って縫い上げる縫い子さん、やら、全ての人に光が当たらなくては。
と。

ステージに立つ、という意味ではなく。もっと、地位が上がらないものかと思う。

服を作るのは大変なのです。
世界中の人が、もっと服を大事に着てほしい。

たとえ、UNIQLOだって、H&Mだって、どこかの誰かが、その手で縫っているのだから。

と。

ファッションは、どこへ向かうのでしょうか?
もはや、解りませぬが、私は変わらず、コツコツ、地道に精進してまいります。

とにかく、おめでとうございました。

今後もどうぞ、よろしくお願いします。"

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昔お世話になったスタジオで働いている友達の先日のFacebookの記事。
もともとおっとりで淡々としている子。とても器用で機転も利く子。
わたしと同じように地方から文化服装学院に進学して、卒業した就職先も一緒だった。
縫製工場で3年半、身も心もボロボロにして一旦地元の仙台に帰りそれからも縫製の仕事を続け、
今はNYで働いて2年になる。
彼女の葛藤が痛いほど分かって 心が きゅっ となった。
この文章のいろんなところに皮肉を感じてしまう昔のわたしがいる。

『 と イカラシ』という名前は、お客さまと対等な関係でものづくりをさせて欲しいという気持ちも強く反映させています。
ただの作り手として報われない想いが辛く今のような活動を始めました。
とびきりの明るいライトも、たくさんのカメラも、スーパーモデルに着てもらうことも、有名な雑誌に載ることも、もう興味は無くて、どーでもよくて、その人に合うものを提案でき、1日でも長くその服を着ていただけたらいいなぁと思っています。小物やバッグに対しても同じ思いです。

発展途上国では、劣悪な労働条件の縫製工場で働くことよりも売春を選ぶ少女が少なくないと聞きます。
MADE IN JAPAN でも 外国からの研修生が低賃金と残念な扱いで働いている現場がたくさんあります。
日本人の手で作られたMADE IN JAPAN だって …

何かは急には変わらないし変えられないけれど、ひとりひとりが少しでも考えてくれることが尊いことだと思います。

今持っている衣服、どうぞ大切にされてください。
そして長く付き合えるいい衣服に出会えますように。