「これ、貸すよ」
と一冊の本を渡された。 読みたかった本、 ありがとう と受け取ると 「もう一冊あるけど」 と二冊目の本を渡された。 受け取って表紙に目を落とした途端、読むともなく入ってきた表題とそこに描かれた色彩に涙が溢れた。 「こっちだね」 と一言放って友達は黙って隣にいた。 一冊の本を受け取ってこんな風になるのは初めてだった。 寝る前にそっと開く。 無理のない量を読み、美しい色のしおり紐を丁寧に挟んで本を閉じる。 今日という日をどこか照らし合うように、 今日という日を記すように本を読む。 |